看護師として働き始めてかれこれ20年以上…
辞めたいと思ったこと、何度もありますよねぇ
時代は変わる‥
学生時代の実習も「人間的にどうなの?」というナースたち‥本当につらかったのですが、
私が新人で入職したころは、新人の洗礼のようなものがありました。
プリセプター制度※があり、3年以上経験を積んだ先輩がプリセプターとなります。
※ある程度の経験を積んだ先輩ナースが、新人を一定期間マンツーマンで指導にあたる教育制度のこと
このプリセプターたちが鬼こわい
・新人がいるところで、プリセプター同士であーだこーだ新人のエピソードを報告しあう(私たちには、あら?いたの?という態度)
・仕事が終わって時間外なのに、経験したコトのない処置等があると「なんで見に行かないの?意識が足りない」と注意される
・週に1回の反省会は私たちのミスや上記の意識の足りなさを指摘され、「なんでこんなことになったのか説明して」と、師長・教育係・プリセプターたちが鎮座する中で延々に反省の言葉を述べさせられる
・17時に定時のところ、23時になっても仕事が終わらず(看護記録が合格しない)親に心配される
・なぜか急に無視され、処置やケアをすべて「私がやるから」と仕事を奪われ、その不機嫌さに変な汗が出る
・夜勤明け、少しのミスで電話がかかってくる、新人のロッカーにはミスの内容の付箋を貼られる(みんなに見える)夜勤明けも落ち着かないし、出勤がこわい。
私たちはおののきながらも耐えに耐え、なんとか乗り越えました。
今じゃ即パワハラ!って言われるでしょうね…
洗礼は翌年の新人でも続くのですが、翌年の新人さんがことごとく精神を病み、この洗礼が管理部の耳へ届くこととなり、先輩方は部署異動になりそのあとすぐ辞めたよう(え?我慢しなくてよかったん?と拍子抜け)
看護師の新人の離職率が高いことはここにも原因があるのだと思いますが、今は本当にいい時代になりましたね。
私は我が子を育てるように後輩指導しています。
患者さんの大切な命を預かる現場なので、メリハリをつけています。
部署移動も何度もありましたが、こんなこわい世界でよくこの仕事続いたな~
今、同期で入職した子はみんな転職しています(笑)
看護のおしごと
看護師のお仕事は「診療の補助」「療養上の世話」とされています。
さらに現在は予防医療・健康増進のアプローチも必要です。
1.健康を増進
2.疾病を予防
3.健康を回復
4.苦痛を緩和
壮絶な新人時代を過ごしたおかげで?身も心も強くなりました。
今、私は看護が大好きですし、自分の看護観を持ち働けることが幸せでもあります。
人のお役に立てているかはわかりませんが、看護師としてのお役目は果たそうと努力している所存です。
私の原動力
私がなぜ看護に注力できたのかを考えてみました。
そこに浮かぶのは紛れもなく患者さんの顔、言葉です。
(プライバシー保護の観点から、内容を一部変更しています)
亡くなる直前まで見せてくれた優しさ
もうあと数日と言われていた患者さん。
夜勤明けの翌日、日勤で働く私の顔を見て
「あんた、昨日の夜もおったろう。眠たかろうに。私ばかり楽をしてすまん」と。
酸素投与、やせたからだ‥人のことを気にできる状態ではないのに。
数日後、私の勤務帯で亡くなられました。
奥様に先日のことをお伝えすると、
「無口だけど、優しい人だった。看護師さんのことばを宝物にするね」とおっしゃられました。
温かな患者さんの心遣いと、私の言葉を宝物にすると言ってくださった奥様。
患者さんの終末期のケアをさせていただけて、このご夫婦の人生の一片になれたことが私にも宝物になった瞬間でした。
病院が嫌いなのに来てくれる患者さん
通院治療をしている患者さん。副作用が強く、しんどい思いをしています。
「また来てね、待ってるよ」って伝えると、「わしゃ病院は嫌いで。治療も嫌い。来たくない。でも頑張ってくるで。何でかって言うと、ここの看護師さんたちが大好きだからな、優しいんよ、ありがとう」と満面の笑みでした。
私たちが優しいのではなく、「患者さんの頑張りが私たちをそうさせてくれている」ことに気付いてほしい。
私が「どの患者さんにも伝えたいことはこの言葉なんだ」と気付かせてくれた方です。
無口だけど笑顔を見せてくれた患者さん
「家でも何にもすることがなくてね、寝るばかりしている。生きててもしかたないな‥」とぼそっとつぶやいて、眉間にしわを寄せて目を閉じてしまった患者さん。歩けるのに車いすに乗っています。
生きるって何だろう‥と考えました。
好きなことはないの、やりたいことは、好きな人やペットは?うざ覚悟で聞いてみました。
最初は全く無視されたけれど、ペットは?という言葉で「犬が2匹おる」と。
名前をきくと、孫がつけたという名前を教えてくれました。
「家に帰ると飛びついてくる、可愛くてずっと一緒におりたいなと思う」と笑顔になりました。
生きることの意味、あるんじゃないですか?とお伝えすると、そうだったな、とまた目を閉じたけど、心なしが眉間のしわがとれ、優しいお顔に。
難しい顔をした患者さんの口から、かわいらしいワンちゃんの名前が出てくるのがたまらん、と勝手にニヤニヤした私です。
病院はずっといるところではなく、その人の人生のほんの一瞬
もう治療に通わなくていい、退院できる、元気になるという前向きなお別れも沢山経験します。
寂しいけれど嬉しいお別れです。
そんなときに、直筆でお手紙をくれる患者さん。
私のために時間を使ってくれたことだけでも嬉しくて涙が出ます。
さらに文章を読んで涙(すぐ泣く)。
嬉しすぎる心遣い、本当にありがとうございます。
人とのつながり
人はつながっている。
医療者・患者ではなく、ひとりの人間同士としての大切なつながり。
何かケアしなきゃ、言ってあげなきゃ、というのは医療者のエゴかもしれない。
今、私の目の前にいる人を知り一番の理解者となろうとする、これこそが看護の原点だと思っています。
今まで出会った数えきれないほどの患者さん。
そのお一人おひとりが、私にとってのかけがえのない方たちです。
私は本当に嬉しくて楽しくて、この仕事が大好きなんです。
つながりを大切にしたいから‥
あなたらしさを全力で応援します!
本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
心温かな1日となりますように‥
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